一連の地震の活動のなかには

大きく分けて、ひずみの蓄積、前駆的地震活動、静穏化(空白域の形成もその一種)、前震、本震、余震などがある。このサイクルには規則性があると考えられており、観測によって現在どのような活動に当たる時期かを知ることで、地震予知に役立てようという動きがある。専門家の中には、1995年の阪神大震災などを例として、「西日本(西南日本)は地震の"活動期"に入っているのではないか」と推測している者もいる。これは、過去の資料から西日本で周期的に発生している南海地震東南海地震の前後で西日本の地震活動に変化があり、現在そのパターンのうち"活動期"にあるとするものである(西日本地震活動期説参照)。ただ、判断するための資料が少ないと指摘する声もあり、これを否定する専門家もいる。大規模な地震が発生した場合、その災害を震災(しんさい)と呼ぶ。特に激甚な震災は大震災と呼んで、地震とは別に固有の名称が付けられることがある。例えば関東大震災阪神・淡路大震災などである。しかし「関東大震災」の命名者は不明、「阪神・淡路大震災」は報道機関が使用し始めたものを基に閣議で決められたもので、「震災名」を付ける制度は作られていない(地震名は気象庁命名する)。新潟県中越地震では、新潟県が独自に「新潟県中越大震災」という呼称をつけている。

建造物への被害。揺れによりまず柱・梁・壁・基礎等のひび割れが生じ、地震耐力(耐震強度)が低下すると自重とさらなる揺れによって損壊、倒壊・崩壊に至る。致命的な被害がない場合でも、強度が低下して地震や荷重に弱くなることがある。余震の多発により、本震から時間が経ってからも被害が拡大する例が多い。また、窓や扉等の建具が破損・変形・飛散する。さらに、家具や置物も転倒・飛散する。
火災の発生。強風を伴った場合の火災旋風。

地盤への被害。地震動によって、地割れや地盤の緩みが起こるほか、傾斜地や傾斜した地層、崖などではずれや凹凸が生じる。斜面ではがけ崩れ、地滑りが発生する。沖積地の砂質地盤では液状化現象や側方流動が発生することがある。河川ではがけ崩れや地滑りにより河道閉塞(せき止め湖・天然ダム)が生じ、時間をおいて土石流を発生させる。寒冷地では雪崩も発生する。

津波の被害。家屋や建造物の流失、人的被害、滞留した水やゴミによる衛生環境の悪化、漁場や港湾への被害など。ライフラインへの被害。道路・橋や鉄道などの交通網、水道、ガス管、送電線、電話線・通信系統などが故障し遮断される。主に山間部で集落が孤立することがある一方、都市部では公共交通機関の麻痺による大量の帰宅困難者の発生が考えられている。

通信への被害・情報の混乱。通信施設の被害によって情報源が乏しくなり、災害に関する情報や生活に必要な情報が入手しづらくなる(回線がパンクし、なかなか通話できなくなる)。デマや流言が広まりやすくなる。また他方では、地震による被害の過大報道・誤報や誤った認識などによる風評被害が発生する場合もある。

物資の不足や生活環境への被害。食糧・水や生活物資の不足。家屋被害による居住場所不足、トイレ不足。物資不足による価格高騰、ヤミ市の出現。医療サービス、公共サービス、行政サービスなどの低下、機能停止。

経済的損失。 農地への被害。商品や工場への被害。寡占商品が被害を受けた場合の経済全体への影響。文化的被害。文化財や天然記念物、景観などへの被害。文献や史料の損傷、紛失。

人的被害。怪我および生命への危険。ノイローゼやPTSDなどの心理的被害。水やごみによる衛生環境の悪化、感染症の流行。

犯罪の増加・災害時犯罪。スーパーマーケットやデパートなどの店舗で食料品や生活物資などが窃盗・略奪される。支援物資の奪い合い、暴動などが発生し、治安が悪化。

震災を利用した詐欺などの犯罪。震災の混乱に乗じ、崩壊した家屋から金品を盗まれる恐れがある。刑務所や拘置所が崩壊すると、受刑者(収容者)が脱走し、治安の悪化が進行(ハイチ地震チリ地震など)。長期的に見て、地震による被害は縮小する傾向にある。これは、建造物の耐震化や地震に強い社会基盤の形成、さらに地震に関する知識や防災意識の浸透によるものが大きい。日本でも地震の被害は、人口に比例して増加した部分もあったが、住宅の耐震性・耐火性の向上とともに減少してきている。世界を見ても、地震被害の多い地域では耐震化や防災体制の構築により被害が減少している地域もあるが、途上国を中心にいまだに対策が不十分な地域も多く存在する。